「抜刀術の名人であることを隠そうとするのは、いざ戦いになったとき、抜刀術ができることを知られていなければ有利だということですか」と町会長。

「おっしゃる通りです。戦国時代や徳川時代においては、抜刀術の名人であることが知られれば、名を上げようとする挑戦者が現れるのを避けることができなかったのだと思います。」

「なるほど。それで、父祖伝来の抜刀術を受け継ぐ家系は、抜刀術ができることを隠し続けてきたということですか」と町会長。

「おっしゃる通りです。」

「しかし、お父さんは、父祖伝来の抜刀術を渡辺さんに伝えようとはしなかったのですね」と町会長。

「おっしゃる通りです。しかし、父は、小さいときから抜刀術の名人になるための教育を受けていたと推定しています。」

「抜刀術の名人になるための教育というのがあるのですか」と町会長。

「おっしゃる通りです。父は茶の湯の師匠のお供で、皇室の血筋のような高貴な家柄の茶会に招かれることが多かったのです。」

「そう言えば、渡辺さんのところには、茶室がありますね」と町会長。

「おっしゃる通りです。父は、高貴な家柄の茶会に、茶の湯の師匠のお供をしていくことが多かったのですが、そういう名家の茶室には誰も読めないような草書体の掛け軸が書けられているのだそうです。」

「名家の茶室には誰も読めないような草書体の掛け軸が書けられているのですか」と町会長。

「おっしゃる通りです。母は書道の先生をしていて、草書体の作品も書いたのですが、草書体で書かれたものが、何でも読めるというわけではありません。」

「お父さんは、草書体で書かれたものは、何でも読めたのですか」と町会長。

「おっしゃる通りです。ですから、父は師匠が恥をかかないように、何が書かれているかこっそり教えています。」

「それで、いつも師匠のお供をすることになったのですか」と町会長。

「おっしゃる通りです。」

「なぜ、お父さんは、草書体で書かれたものが読めたのでしょうか」と町会長。

「父は、なぜ、草書体で書かれたものが読めるのかについて話したことはありません。」

「もしかして、抜刀術に関係しているのではありませんか」と町会長。

「実は、子供のころ、蔵の中に草書体で書かれた本が山積みされているのを見たことがあります。」

「何が書かれていたのですか」と町会長。

「残念ながら、僕は草書体が読めません。漢和大辞典などに草書体が載っているものはあるのですが、独学で習得できるものではありません。」

「それでは、抜刀術について書かれたものかどうかは分かりませんね」と町会長。

2021/5/24

<筆者の一言>
ステーキは恐ろしい。食べた翌日から体重が全く減らなくなった。10日に1回ほどの割合で食べていた海老チラシもやめた。息子の体重が減り始めたのは、2月になってからだ。

なぜ、ステーキを食べると、玄米肉食で体重が減らなくなるのだろうか。現代医学では理由が説明できない。体重が減らなくなるのは東洋医学的な理由だ。ステーキを食べると心臓が強化される。心臓が強化されると、それに合わせて他の内臓も強化される。要するに、豚肉や鶏肉で体重が増えてしまうのだ。<続く>

2024/5/9